第1727回 有望2歳馬が集結! 1年最後の中央G1・ホープフルSを分析する|競馬情報ならJRA-VAN

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有望2歳馬が集結! 1年最後の中央G1・ホープフルSを分析する

2023/12/26(火)

中央競馬で1年最後のG1といえば、いまやホープフルS。昨年は14番人気のドゥラエレーデが制して大波乱となったが、今年はどのような結末が待っているのだろうか。G1に昇格した2017年以降、過去6年のデータ分析から有望と思われる馬を紹介したい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

前走1、2着馬が好走の大半を占める

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
前走1着 3- 5- 6-46/60 5.0% 13.3% 23.3% 9 54
前走2着 2- 1- 0- 5/ 8 25.0% 37.5% 37.5% 91 86
前走3着〜 1- 0- 0-22/23 4.3% 4.3% 4.3% 393 61

(表1 前走着順別成績)

過去6年のホープフルS1〜3着馬18頭のうち14頭は「前走1着」。ただし、前走1着でも新馬戦だと【0.0.1.10】、未勝利戦も【0.0.0.14】と苦戦している。言い換えれば、「前走1着」の好走馬14頭中13頭の前走は重賞・オープンか1勝クラスということになる。「前走2着」も侮れない成績だが、今年は該当する登録馬がいない。「前走3着以下」の好走は1頭のみ。その1頭が昨年のドゥラエレーデ(前走東京スポーツ杯2歳S4着)というのは無視できない事実ながら、前走2着馬がいない今年、まずは前走1着馬を重視するのがセオリーではあるだろう。

前走芝1800m組が芝2000m組を凌駕

前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
芝1600m 0- 1- 0- 2/ 3 0.0% 33.3% 33.3% 0 76
芝1800m 5- 2- 2-19/28 17.9% 25.0% 32.1% 355 87
芝2000m 1- 3- 4-46/54 1.9% 7.4% 14.8% 7 49
ダート 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

(表2 前走距離別成績)

次に前走の距離別成績をチェック。前走芝2000mが54頭、前走芝1800mが28頭で、この2つの合計が全体の9割を超える。この両者を比較すると、好走率、回収値ともに前走芝1800mが優位に立っている。

前走芝1800mで上がり1位が好成績

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
前走芝1800m 上がり1位 2- 2- 1- 3/ 8 25.0% 50.0% 62.5% 51 81
上がり2位 2- 0- 1- 6/ 9 22.2% 22.2% 33.3% 54 43
上がり3位 0- 0- 0- 3/ 3 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
上がり4位〜 1- 0- 0- 7/ 8 12.5% 12.5% 12.5% 1132 176
前走芝2000m 上がり1位 0- 0- 3-19/22 0.0% 0.0% 13.6% 0 57
上がり2位 1- 2- 0- 8/11 9.1% 27.3% 27.3% 38 63
上がり3位 0- 1- 1- 6/ 8 0.0% 12.5% 25.0% 0 90
上がり4位〜 0- 0- 0-13/13 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

(表3 前走上がり順位別成績)

続いて前走の上がり順位に関するデータを調べると、前走芝1800mと2000mでそれぞれ異なる傾向が出ている。前走芝1800mの場合、そこで上がり1位だとかなりの好成績。上がり2位もなかなか優秀だ。しかし、上がり3位および4位以下の好走例は1頭のみ。なお、この1頭は昨年のドゥラエレーデである。前走芝2000mの場合、ホープフルSの好走は前走上がり1〜3位に限られ、その中でも上がり1位は連対例がなく、上がり2位や3位のほうが連対率、複勝率が高いことに注目したい。

異なる距離で1着実績を持つ馬に注目

1着実績 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
芝1500mのみ 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
芝1600mのみ 0- 1- 0- 5/ 6 0.0% 16.7% 16.7% 0 38
芝1800mのみ 3- 2- 2-22/29 10.3% 17.2% 24.1% 28 32
芝2000mのみ 1- 1- 1-30/33 3.0% 6.1% 9.1% 9 26
芝・異なる距離 1- 2- 3-10/16 6.3% 18.8% 37.5% 11 118
ダートのみ 1- 0- 0- 4/ 5 20.0% 20.0% 20.0% 1812 282

(表4 距離に関する1着実績別成績)

距離に関する1着実績を調べた(表4の集計対象は中央戦のみ)。過去の1着が「芝1800mのみ」と「芝2000mのみ」を比較すると、好走率が高いのは前者だ。先に確認した前走芝1800mが好成績の傾向にも沿っている。しかし、この「芝1800mのみ」より高い連対率、複勝率を記録しているのが「芝・異なる距離」だ。なお、このデータは「芝1600mと2000m」「芝1800mと2000m」など、距離の組み合わせを問わないものである。キャリアの浅い馬ばかりなだけに、異なる距離の1着実績が経験としてアドバンテージになるのかもしれない。

好走馬の半数は2戦2勝馬

実績 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
2戦2勝 3- 4- 2-11/20 15.0% 35.0% 45.0% 29 75
1戦1勝 0- 0- 1-10/11 0.0% 0.0% 9.1% 0 44
連対率100% 1- 1- 1-11/14 7.1% 14.3% 21.4% 30 32
複勝率100% 0- 0- 1-11/12 0.0% 0.0% 8.3% 0 40
その他 2- 1- 1-29/33 6.1% 9.1% 12.1% 283 73

(表5 実績別成績)

2歳G1では無敗やオール連対のまま出走する馬も多い。そこで調べたデータが表5。まずわかるのは、「2戦2勝」でホープフルSに出走すると有望ということ。「1戦1勝」は前走新馬戦1着と同義で、これは苦戦。「連対率100%」はまずまずの成績だが、「複勝率100%」では物足りないことも見て取れる(注:「連対率100%」と「複勝率100%」のデータに無敗馬は含まない)。意外に侮れないのが「その他」で、近2年は各2頭、計4頭が好走している。言い換えれば、4着以下に敗れたレースもいい経験になっている可能性はある。

【結論】

前走の着順・距離・上がりに注目!

2023/11/25 京都 11R 京都2歳ステークス(G3) 1着 5番 シンエンペラー2023/11/25 京都 11R 京都2歳ステークス(G3)
1着 5番 シンエンペラー
(Photo by JRA)

登録馬22頭のうち前走1着が13頭いて、前走が新馬戦、未勝利戦、ダートだった馬を除くと5頭が残る。その5頭のうち、まずは2戦2勝の3頭から見ていこう。

シンエンペラーは、芝1800mの新馬戦、芝2000mの京都2歳Sと異なる距離で勝ってきた点も強調できる。気になるのは前走芝2000mで上がり4位という点だが、京都2歳Sは上がり1位タイが3頭いて、そこから0秒1差の4位。実質2位と考えれば、前走芝2000mとしてベストの上がり順となる。ヴェロキラプトルは芝1800mで2戦2勝。前走芝1800mで上がり1位という好走率が非常に高いデータにも合致している。ゴンバデカーブースは芝1600mで2戦2勝。表4によると、1着実績が芝1600mのみの馬は【0.1.0.5】とやや苦戦しており、このデータを覆したい。

無敗ではない2勝馬は2頭おり、異なる距離の1着実績を持つシリウスコルトは興味深い存在。センチュリボンドは1着実績が芝2000mのみだが、前走芝2000mで上がり2位だった点はいい。

前走1着馬以外では、前走芝1800mで上がり1位を記録したショウナンラプンタとレガレイラにも触れておきたい。ショウナンラプンタは昨年のドゥラエレーデと同じ東京スポーツ杯2歳Sの4着馬で、レガレイラはルメール騎手が騎乗予定。どちらも抽選を突破すれば注目する価値はあるだろう。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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